スペイン旅行記 28日目。 バルセロナ 最終日
4月28日
ホテルを出るとき、お世話になったオーナーにお土産を渡した。
約1ヶ月も泊まらせてもらっていたから、なにかしないとな、と思ったわけである。
サグラダファミリアの近くで買った、クッキーだ。
もしかしたら、もう食べた事のあるものかもしれないが、そんな風を思わせる事なく、受け取ってくれた。
そして、なんとお返しをくれたのだ。
毎晩のようにスペインビールを飲んでいた私にうってつけのものだった。
ビールのあてにどうぞ、と言って、私の土産よりも、もしかしたら高額かもしれないお返しをくれた。
オーナーの優しさに、ちょっとした驚きと、大きな感動を体験し、ホテルを出た。
ホテルを出て、いつものカフェ&バルの方向に歩き出す。
その交差点でタクシーを待つ。
スペインでは、街中にタクシー乗り場はない。
街の区画の四隅で待っていると、タクシーが来てくれるというシステムらしい。
詳しいタクシー事情は知らないけれど、ほんの数分待つだけで、タクシーがきた。
タクシーの運転手はレスラーのような風貌で、いかにも運転が荒そうな感じがしたが、乗ってみると、非常に乗り心地がよかった。
バルセロナ空港の1番口までタクシーで行ってもらう道中、今までの旅を一瞬だけ振り返った。
その一瞬の間に、もう空港の近くまで来ていた。
本当に一瞬だった。
多分今回の旅はそんなに長い旅じゃなかったのだと思った。
空港に到着すると、今度はインフォメーションセンターに向かい、出発時刻を確かめた。
内心、きちんと日本まで帰れるのだろうか?と思っていたが、ここまで実にスムーズである。
出発時刻まで3時間ほどあった。
少し早く来すぎたかもしれないとは思わなかった。
パスポートを見せて、荷物を預ける。
それから空港内の土産屋を見て回る。
余裕で2時間ほどは時間がつぶせるくらいに店が充実している。
ここでもお土産を何個か買った。
もしかしたらお土産の数と、それを渡す人数のバランスがおかしいかもしれない。
お土産があまったら、自分で消費すればいいだけなのだが、そもそも私は自分用にお土産を買わない。
贅沢をする、ということがこんなにも、もやもやするものか、とそのもやもやの理由を探していたら、
それはもしかしたら金銭的なものかもしれない、という結論に至った。
妥当である。
空港内の店を全て回り、散財をしてから、カフェで朝食兼昼食を摂った。
あと30分ほどで出発する時刻になったので、ゲートをくぐる。
これはわくわくなのか不安なのか、そわそわした気持ちが体中を包み、なんだか手足が動かしにくい状態になる。
いつも緊張すると、こういう風になるので、おそらく不安だったのだろう。
日本から、こっちにくるときもこうだった。
そしてそれをスターバックスの店員に見破られたわけだ。
出発すると、しばらくはここにはこないだろうな、と独り言を言うと、いつの間にか目の前にいた可愛らしい女の子にガン見されていた。
外国人にガン見されることがこれほどとは。
もしかしたら先ほどから手足が動かしにくかったのはこの子の眼力の所為かも知れなかった。
ほどなく、飛行機は、バルセロナ空港を離陸する。
ドーハに着陸するのは、日をまたいだ頃だろう。