スペイン旅行記 29日目 旅の終わり 序
4月29日 序
ドーハに到着する。
実は全然日をまたいでいなかったわけだが、それは、まぁ、勘違いというやつである。
こんな勘違いをするからなのか、ちょっとしたトラブルがあった。
予定の出発時刻に飛行機が飛ばないかもしれないというものだ。
というのも、ドーハから関空に飛ぶはずの機体がまだドーハに到着していないというのだ。
空路なので、渋滞という概念はない。
単に、その機体が飛ぶ前に、何か人為的なトラブルがあったのだろう。
もしかしたら添乗員が何かミスをしたのかもしれない。
結論は出ないが、待つしかない。
予定よりも2時間ほど遅れるというアナウンスがあり、しかたがないので、それに従った。
その2時間の暇をどうやってつぶそうかと思い、スマホを見ると、バッテリーがあと30%になっていた。
非常にまずい事態である。
この2時間、音楽を聞こうものなら、たちまち消費し、バッテリーは尽きるだろう。
それだけは避けねばならないので、何かないかとあたりを見渡す。
奥の方に、土産物屋を発見する。
することもないので、ふらっとそこに近づくと、なにか身体に良さそうなオリーブオイルが小さな瓶5つセットで売っていた。
なんとなく興味を惹かれたので、それを購入することにする。
小銭がいくらか貯まっていたので、それを消費しないといけなかったから丁度よかった。
あとは飲食が出来そうな店もあった。
セルフっぽく見えたが、きちんと店員さんがいた。
ただ、パンやドーナツ類は自分でトレーに載せないといけない仕組みのやつだ。
こういうのってセルフなのかそうじゃないのか、判断に苦しむところだけれど、自分で何かをしないといけない仕組みが一つでも組み込まれていたら、
それはもうセルフなのかもしれない。
甘そうなドーナツをトレーに載せて、レジの近くまで行き、コーラも一緒に頼んだ。
見た目、すごく甘そうなドーナツは、やはり、見た目通りで、ラベルの印象が非常にスペイン的なコーラは、日本で飲むコーラと、たいして変わらなかった。
まだ1時間も経過していなかったが、私のとなりにいた女子のおかげで、残り時間を有意義に過ごす事ができた。
なんだか、会った事のある顔だと思ったが、外国人の、特に欧州の方の少年少女は決まって顔が整ってるので、識別することができなかった。
彼女は日本に向かう途中らしく、私と同じ便だと言う。
このトラブルのおかげで、出会えたわけである。
外国人と知り合いになる術を既に持ってた私なので、声をかけてみたわけだ。
2時間が経つ15分まえにアナウンスが流れる。
ようやく出発できる。
機体に乗り込み、席に座ると、隣に先ほどの女子がやってきた。
偶然は続くものである。
一応書いておくが、彼女のそばにはきちんと家族がいる。
私と彼女の間には通路があり、それが隔たりとなって、飛行機に乗っている間は会話はしなかった。
長いフライトが続く。
順調に機体は雲の上を飛行している。
離陸から2時間くらい経ったところで、トイレに行きたくなった。
トイレから戻ってきたとき、座席の前の網で出来た物入れの中に二つ折りの紙が挟まっていた。
外国人とは大変におしゃれである。