スペイン旅行記 その後⑧ ゴールデンウィーク終わり アルバイト
5月7日
AGW。
ゴールデンウィークが終わりを告げ、世間は再び、平日の名の下に返る人々。
せっせと仕事をこなし、週末を楽しみに頑張る日々がまた始まった訳だが、私には関係がなかった。
ニートと言われても、むっとしないが、無職と言われると、ぞっとしないでもない。
当面の生活費には困らないくらいの貯蓄はあるが、このままぼぅっとしつつ生活するのにはいささか抵抗があるので、
アルバイトを始める事にした。
将来的には、日本とスペインとを行き来するような仕事を自分で起こしたいと思っている私だが、いかんせん、
実力不足を否めない。
建築家としての勉強は日々こなしているはずだが、実績となっているわけではないからだ。
世間は形を欲しがる。
それが、証拠となり得るし、もっと言えば、その実績が社会性と結びついているからだ。
もちろん、そんなことは承知している。
ただ、やみくもに突っ込んで行っても、社会にはじかれるだけなのである。
遠回りのようだが、地道に実力をつけていく、という選択肢が一番の近道なのだと、先輩が言っていた。
その先輩は職人さんで、基礎工事の親方をしている。
独りで会社を起こし、その代表、つまり社長さんだ。
進む道は似ているようで、違うけれど、その目的達成の為のノウハウは間違っていないと思うので、その先輩の言う事は真実ということになる。
だから、まずは自分の進みたい道を少しずつ歩く事に決めたのだ。
スペインに行って、少し興味を持ったものもあるので、その目的というか目標は既にイメージ出来ている。
あとは歩くだけだ。
多少時間がかかるが、先輩の言を借りるなら、それが最速というわけである。
話は戻って、アルバイトだ。
社会性を失わないように、というのと、生活にメリハリをつける意味で、やろうと思った。
ところが、アルバイトの数は無数にある。
ネットで検索していると、意外にこれが楽しくて、気がつくと、貴重な時間が一気に過ぎて行く。
しかもなにか似たような宣伝文句ばかりが並んでいて、どこも行きたくなるような印象をこちらに与えてくる。
ひとまず、検索はやめて、履歴書を買いに行く事にした。
履歴書欄に年齢を書く欄があるのだが、一瞬手が止まる。
この年でアルバイトか。