スペイン旅行記 29日目。 旅の終わり 急
4月29日 急
気がつくと、日本まであと1時間と迫っていた。
ようやく眠れたと思ったあと、すぐに「チキン or フィッシュ?」とか言って、何回か起こされたので、
全然寝た気がしない。
しかもフライト時間が14時間もあるので、寝て、起きたあとの身体のバキバキ感といったらない。
なにかこう、聞いたことないような音が、身体の内側からやってきたりするのだ。
これはなにがどう擦れてこんな音が聞こえてくるの?と首を傾げた矢先にまたボキっと音がするのである。
アルコールがまだ残っているような感覚があった。
おそらく気圧の所為で、いつもよりアルコールが抜けるのが遅いのだろう。
身体のいたるところが活発になっているから、アルコールの吸収と比例して、肝臓の働きも活発になるのかと思ったが、
意外とそこは普通のようだ。
もしかしたら、いつもよりも多く飲んだからかもしれないが、まぁ、どっちでもいいかと。
スマホを見ると、残量が5%になっていた。
充電器はスーツケースの中に入れてしまっている馬鹿な私なので、バルセロナを出てから、まったく充電がされていない状態のスマホだ。
丁度1日くらい経っているので、それで95%を消費しているということは、
私のスマホの消費量はとりあえず1日はもつだろうというくらいのスペックだと言うことが言える。
なにが言いたいわけでもないが、せめてもう半日くらいは持って欲しいものだ。
消費量なんて、使用者のさじ加減ひとつだが、そこは言いっこなしである。
普段はそんなこと思ったりもしないのだが、あと1時間で日本に着く、そのタイミングで、
帰ってきたという連絡をしたいのが、人の情というものだろう。
あとメールが何件貯まっているのかも見てみたいし、もし、なにかトラブルでも起きようものなら、
今の時代は携帯電話がなければ話にならないのだ。
このスペイン旅行でいくつかのトラブルを乗り越えてきた私だが、スマホやiPadがなければ、そのトラブルも解決できなかっただろう。
それくらい、重要な機器なのだ。
充電器をスーツケースから出し、充電させるとか、もう旅の終わりの帰りがけにそんなことはしたくない、という気持ちも大いにある。
むしろ、それしかない、というくらいにあるが、まぁ、なにもなければそれでいいのだが。
やきもきしていると、機体上部からアナウンスが聞こえてくる。
どうやら、そろそろ、着陸するようだ。
時間をかけて、段階ごとに機体が降下いき、滑走路を目指すこの瞬間は、軽い恐怖心はあるが、実はちょっと楽しかったりする。
きちんと着陸できるのかどうか、窓から滑走路を見下ろす。
機体の脚が、滑走路に触れるとき、一瞬機体がはねる。
地面に接地しているという感覚が、一気に安心感に変わる。
徐々にスピードが落ちていき、搭乗ゲートまで、ゆっくりと進んでいく。
何かこう、旅をしているなと、実感できた。
長いフライトが終わり、今度は自分の足で、自宅へと戻る。
知った風景と瞬時に読み取れる言語に囲まれると、今までが、まるで嘘だったんじゃないかって思えるのだ。
それくらいの感動があった。
やっぱり長い旅だった。
全然終わりじゃないけど、とりあえず、一区切り。
旅の余韻はしばらく続くだろう。
各方面へ連絡をしないといけないのがメールを見て、わかった。
連絡を取りたい相手が、自分にしては、たくさん居すぎて、ひとまず落ち着いてから、今回の旅の話をしようと思う。
ひとまず、今は、自宅へ。
良い旅だった。