スペイン旅行記 その後⑥ スペインバル再び 店員さん
5月5日
友人宅から自宅に戻り、ゴールデンウィークを折り返した。
あと二日でGWは終わってしまう。
ただ、休みとして見ると、私の休みはまだまだある。
次の就職先が決まるまでずっとだ。
なので、あと2日くらいどうってことないし、むしろ、早く過ぎて、平日になれば、人がごちゃごちゃとしていないショッピングモールを歩けるのでは、
と考える私である。
人混みが苦手なのは昔からだが、東京に来てからは、どうやら、少し落ち着いている。
東京の人混みは、周りが自分に何も関心がないのが分かる分、一人を強く認識させてくれるので、案外悪くない。
ただ、人が多いと、必然、歩こうにも、買い物をしようにもなにかが妨げになってしまうので、それが嫌なのだ。
友人と離れると、とたんにコミュニケーションが苦手だったことを思い出した。
今日の夜はまた別の友人との会合がある。
例のスペインバルに行くつもりで、その友人を誘った。
なぜまた行く事になったのか、だが、実はあの時の店員さんから、LINEが送られてきていたのだ。
また来てください、との簡単な文章だったが、行く理由はそれくらいで十分だった。
別に何かに期待している、というわけではないが、あの雰囲気は良かった。
スペイン語も聞けるし、英語も聞けるなんて、自分にとっては良い環境に違いないのだ。
もしかしたら、その店員さんをツテに外国人の友人が作れるかもしれない。
そういった期待なら、少ししている。
なので、あと数時間の間、スペイン語の参考書を再び読んでいる。
友達になる為に必要な呼びかけ文をその参考書の中から選び、自分で作文してみている。
ほとんどの文章がスペインに行っていた時に使っていたものなので、復習といった面持ちだ。
あと、外国語を話して、友人を驚かせるというのも、一興だとも思っている。
期待を胸に、その店員さんにLINEを送ったが、帰ってきたのは「今日は閉店ですよ」だった。
貴重なGWの時間が泡と消えて、私の存在もどこか風に乗って飛んで行くようだった。