スペイン旅行記 9日目。 以心伝心
4月9日
サグラダファミリア前の土産屋で本を買う。
あの有名な聖家族協会の周りには、いつも人に溢れている。
観光客はもちろん、観光客目当ての商売人や、その周辺に住む人たち。
日本人に見える人は、大抵が中国や韓国から来られた人で、日本語を耳にする機会はほとんどない。
こんなに人がいるのに、なぜ、日本語が聞こえてこないのか。
聞こえてくるのは、スペイン語や英語、中国語と韓国語である。
フランス語やイタリア語も飛び交ってはいるんだろうけれど、私がその言語を理解していないので、耳に入ってくることはない。
スペイン語や英語、中国語や韓国語が耳に入ってくるのは、その言語をほんの少しかじっている為だった。
当然、うまく話すことなんてできない。
中国語と韓国語はちょっとした単語だけ。
英語は少し自信があるが、多分聞かされる方は、得意顔をする私を見て、嫌な気分になるだろう。
もしかしたら殴り掛かってくる可能性だってある。
スペイン語は、ここに来るまでに3ヶ月も勉強した。
なので、英語よりもしゃべれる自信がある。
ただ、聞かせれた方は、無視するか、恫喝するか、一瞥するか、一笑に付すか、
かわいそうな人間もいたもんだとコインを渡してくれるか、のいずれかだろうと思う。
しかし、こんな話を聞いたことがある。
「伝えようとする姿勢が大事なのだよ」
と。
この文を、たしか何かの本で見たのだが、そのとき、なるほど、と私はなにか助けられたような気持ちになってのを覚えている。
そうか、拙い言葉ではあっても、伝えようとするその姿勢が、相手に気持ちを伝えるのか、と。
旅行中、なんども心が折れそうになったが、この言葉のおかげで、持ち直すことが出来たのは言わずもがなである。
この旅で、私はいくらか体型がよくなったようだ。
おそらく、毎日、姿勢のことで頭がいっぱいだったからだと推測する。