スペイン旅行記 2日目。
4月2日
長期滞在契約をしたホテルにて、スペインでの目標を立ち上げる。
なんであったかはメモを取っていないので、思い出せない。
初日のことがあるから多少疲れが残っていた為、長期宿泊のホテルに着いた後、そのホテルでしばらくゆっくりしていた。
このホテルは近くにあの有名なサグラダファミリアがある。
歩いて10分もかからない。
距離にして400mくらいだったはず。
日本人の夫婦がオーナーで、サグラダファミリアの近くのホテルと検索すれば、
私が泊まったホテルがすぐpcのディスプレイ上に出てくるだろう。
オーナー(旦那さん)は、細身で、クールな印象を受けたが、感じの良い受け答えをしてくれる、良い人だった。
もう一人のオーナー(奥さん)は、話してみると陽気で、せっかくスペインきたというのにどこにもいかない私に、
「この場所行って、店が開いてるかどうか見てきてくれない?」
と、笑顔で話しかけてくれた。
暇でしょ?といわんばかりの間合いの詰め方で、てっきり「私はもしかしたらここの従業員だったのか?」
と勘違いしてしまうくらいの、言を放ってくるという凄技を見せる人だった。
非常にコミュニケーション能力の高い人である。
私なんかは一生身につけられない技術だろう。
少し憧れたことは、もちろん彼女には言っていない。
言わなくても伝わることはあるのだ。
そんなこともあって、私は確か、その日の夕方近くにホテルを出て、オーナー(奥さん)が指定した場所に行き、
目的の店が開いているかどうか見てきた。
店のシャッターは上がっていたし、店の人も入り口の前に立ち、愛想良い笑顔で、訪れる客たちを向かい入れていた。
その光景をiPhoneのカメラで納め、その周辺をぐるりと歩いてから、ホテルに戻った。
ホテルに戻ると、ひとまず休憩しよう、とベッドに座り、日本から持ってきた数少ない小説のページをめくり始めた。
気がつくと、もうシャワーを浴びて寝なくてはいけない時間になっていたので、切りの良いところまで物語を読み進め、しおりをはさんだ。
シャワーを浴びて、今日のことを記録しようと、Macのキーを叩いていると、
そのタイピングのリズミカルな音がなんだか心地よく聞こえてきて、やがて、睡魔に負けた。
次の日の朝、オーナー(奥さん)が声をかけてくれたが、コミュニケーション能力の低い私は軽く会釈をする程度で、ホテルを出た。
後方から何やらオーナー(奥さん)の声が聞こえてきたが、私に向かってしゃべっているということはないだろう。
私が何か彼女の為に出来ることはないし、ましてや、伝える情報など、ひとつもない。
いよいよ、スペインの地を探索する時が来たか、と高揚する気持ちが私の足を早足にさせた。